銀鯖道の夜
ジロバンニの切符25
「いや、
まあおとり下さい。
どうか、
まあおとり下さい。」
「さあ、
向うのジロちやんがた。
いかがですか。
おとり下さい。」
ジロバンニはジロちやんと云はれたので、
すこししやくにさはつてだまつてゐましたが、
シギパネルラは
「ありがたう。」
と云ひました。
【古語解説】
ジロちやん=ジロちゃん、ジロバンニのこと
云はれた=言われた
しやくにさはつてだまつてゐました=しゃくに障って黙っていました
「ありがたう。」と云ひました=「ありがとう」と言いました
(79へ続きます)
文責:華厳旭 D.G.P
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