銀鯖道の夜 ジロバンニの切符3 「あれは、 波の高さをはかる器械です。」 ラツコ捕りが云ひかけたとき、 「切符を拜見いたします。」 帽子をかぶつたもうひとりのラツコ捕りが、 いつか三人の席の横に、 まつすぐに立つてゐて云…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 56_ジロバンニの切符3_(628文字)

銀鯖道の夜 ジロバンニの切符3 「あれは、 波の高さをはかる器械です。」 ラツコ捕りが云ひかけたとき、 「切符を拜見いたします。」 帽子をかぶつたもうひとりのラツコ捕りが、 いつか三人の席の横に、 まつすぐに立つてゐて云…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符2 青寶玉と黄玉の大きな二つのすきとほつた球は浪となり、 それがまただんだん横へ外れて、 向うへめぐり、 黄いろのはこつちへ進み、 青い小さいのが重なり合つて、 緑の中心と黄いろな明るい環がで…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符 「もうここらは中原區のおしまひです。 ごらんなさい。 あれが名高いタマサキ神社です。」 窓の外の、 まるで花火でいつぱいのやうな、 あまの川のまん中に、 黒い建物が立つて、 その屋根の上に、…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 11 ラツコ捕りは二十疋ばかり、 袋に入れてしまふと、 急に兩手をさげて、 模型の人形のやうな形をしました。 と思つたら、 もうそこにラツコ捕りの形はなくなつて、 却つて、 「ああせいせいした…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 10 ラツコは螢のやうに、 袋の中でしばらく、 青くぺかぺか光つたり消えたりしてゐましたが、 おしまひにはとうとう、 みんなぼんやり白くなつて、 眼をつぶるのでした。 ところが、 つかまへられ…