銀鯖道の夜 三十六 南十字路とタキビシン海岸9 河原の礫は、 みんなすきとほつて、 たしかに水晶や黄玉や、 またくしやくしやの皺曲をあらはしたのや、 また稜から霧のやうな青白い光を出す鋼玉やらでした。 ジロバンニは、 走…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 36_南十字路とタキビシン海岸9_(520文字)

銀鯖道の夜 三十六 南十字路とタキビシン海岸9 河原の礫は、 みんなすきとほつて、 たしかに水晶や黄玉や、 またくしやくしやの皺曲をあらはしたのや、 また稜から霧のやうな青白い光を出す鋼玉やらでした。 ジロバンニは、 走…
銀鯖道の夜 三十五 南十字路とタキビシン海岸8 ジロバンニとシギパネルラは、 タキビシン海岸といふ停車場の前の、 水晶細工のやうに見える櫻の木に圍まれた小さな砂浜に出ました。 シギパネルラは、 そのきれいな砂を一つまみ、…
銀鯖道の夜 三十四 南十字路とタキビシン海岸7 二人は一度にはねあがつてドアを飛び出しました。 タキビシン海岸と書かれた停車場の向うには、 まつすぐに銀河の光が海の上へ通つてゐました。 まつくらな海の上に龍が星あかりに照…
銀鯖道の夜 三十三 南十字路とタキビシン海岸6 二人は胸いつぱいのかなしみに似た新らしい氣持ちを、 何氣なくちがつた言葉で、 そつと話し合つたのです。 「もうぢき海岸の停車場だねえ。」 「ああ、十一時三八分には着くんだよ…
銀鯖道の夜 三十二 南十字路とタキビシン海岸5 それもほんのちよつとの間、 キヤラバンは、 ハマヒルガオの列でさへぎられ、 アルテミスの島は、 二度ばかりうしろの方に見えましたが、 ぢきもうずうつと遠く小さく繪のやうにな…