銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 9 「ずゐぶん奇體だねえ。 きつとまたラツコをつかまへるとこだねえ。」 と云つた途端、 がらんとした桔梗いろの海から、 さつき見たやうなチヨコレートが、 みんなすきとほつて、 まるで風に飛ぶや…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 51_ラッコを捕る人9_(441文字)

銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 9 「ずゐぶん奇體だねえ。 きつとまたラツコをつかまへるとこだねえ。」 と云つた途端、 がらんとした桔梗いろの海から、 さつき見たやうなチヨコレートが、 みんなすきとほつて、 まるで風に飛ぶや…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 8 黒いろの外套姿の人はにやにや笑つて、 少し伸びあがるやうにしながら、 窓の外をのぞきました。 すると見えなくなつてゐたラツコ捕りが、 青じろの、 うつくしい燐光を出す、 夜光虫の上に立つて…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 7 なあに、 みんなまつ黒にかたまつているのですから仕方ありませんや、 わたしあ、 べらぼうめ、 そんな苦情はおれのとこへ持つて來たつて仕方がねえや、 おめえらの大將へやれつて、 斯う云つてや…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 6 「も少しおあがりなさい。」 ラツコ捕りがまた包みを出しました。 ジロバンニは、 もつとたべたかつたのですけれども、 「ええ、ありがたう。」 と云つて遠慮しましたら、 「一昨日のころなんか、…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 5 二人は眼を擧げ、 耳をすましました。 ごとごと鳴るキヤラバンのひびきと、 南風との間から、 ころんころんと水の湧くやうな音が聞えて來るのでした。 「ラツコ、どうしてとるんですか。」 シギパ…