銀鯖道の夜 ジロバンニの切符16 チヤーは教へるやうにそつとボンとナツコに云ひました。 「わたしたちはもう、 なんにもかなしいことはないのです。 わたくしたちはこんないいとこを旅して、 ぢき神さまのとこへ行きます。 そこ…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 69_ジロバンニの切符16_(521文字)

銀鯖道の夜 ジロバンニの切符16 チヤーは教へるやうにそつとボンとナツコに云ひました。 「わたしたちはもう、 なんにもかなしいことはないのです。 わたくしたちはこんないいとこを旅して、 ぢき神さまのとこへ行きます。 そこ…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符15 「うん、 だけど僕、 浪に乘らなければよかつたなあ。」 シギパネルラは云ひました。 「ええ、けれど、ごらんなさい。 そら、どうです。 あの立派な酒井塗装店を、 ね、あすこの向かうは、 夢…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符14 橙色のチヤーは叮ねいに云ひました。 「オン父さまや タキビシはまだいろいろお仕事があるのです。 けれどももうすぐあとからいらつしやいます。 それよりも、 オン母さまはどんなに永く待つてい…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符13 それからチヤーは、 シギパネルラのとなりの席に坐つてきちんと兩手を揃へました。 「ぼくたちは、 チヤーママのとこへ行くんだよう。」 腰掛けたばかりのチヤーは顏を變にして、 燈臺看守の向う…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符11 「ああ、ここはナカダキだ。 いや、モニースだ。 いや、 ああぼくたちはそらへ來たのだ。 わたしたちは天へ行くのです。 ごらんなさい、 あのしるしは天上のしるしです。 もうなんにもこはいこ…