「目的のサーフブレイク」
そんな題名のコラムが浮かんだ。
詳しく説明すると、
自分が狙う、または好むサーフスポットということで、
サーファーは、
良い形をした波が好きなのか、
それともパワーがあるのか、
サイズ狙いなのかと大きく分けられると思う。
またはそれらのミックスだろうか。
以前にアンディ・デイビスの掲げる「サーフィングは瞑想」
というテーマの中身を書き、
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/56061
それを要約すると、
「幸せになりたいから、波を争うブレイクではサーフしない」
ということだった。
私も同様で、最近は人の少ないところ、
争いのないところでサーフしている。
ただ、この人口過密地域で、
波と人のバランスを考えると、
「良い波=波取りバトル」という図式になっているので、
裏を返すと「悪い波=幸福サーフ」ということになる。
アンディのスポットは、
エンシニータスにあるビーコンズだ(ビーケンズと発音している)。
ここは遠浅のため、うねりの押しが弱く、
そして地形もまばらなので、かなり弱い波質。
サンオノフレも同様。
これは一般的にはあまり良くない波質とされているけど、
裏を返すと、
パワーがなくダラダラとブレイクする波なので、
初心者に最適であるということと、
ロングやミッドレングスにとっては天国的な波である。
そして私たち瞑想派にとって、
これら遅速波からインスピレーションを得ることは多い。
いつも混んでいるけど、
「シェアライド」という言葉もあり、
前乗りとか後ろとか、
そんなことはあまり気にしないでサーフできることも気に入っている。
つまり、
ここには多くの人が私たちと同じ目的でサーフしにきているので、
おだやかに幸せにサーフできる。
(ごくまれに戦闘モードの人もいるのでご注意を)
でも私はユル波だけでは満たされない体になってしまっているので、
強いうねりが入ってきたときには、カラフィアの北側か、
ロッキーショアに行き、
波に叩かれることで精神洗浄するスタイルのときもある。
ノース・カラフィアが空いている理由はブレイク両側に
「ステートパーク」「リビエラ」というA級のビーチブレイクを擁しているのと、
駐車場から少し歩くからであろう。
私の他にはサーフしている人はいない無人ブレイクは、
サブカルチャー精神に通じる快感がある。
チューブに入りたかったり、
強い波でサーフしたいときはここをチェックするようにしている。
ロッキーショアは、
私がカリフォルニアで一番好きな波で、
危険な岩場なので人が少ないことと、
その岩だったり、岬だったり、
そして人の少なさ、
激掘れする波質という全ての要素を愛している。
ここは岬地形のため、
「トリプルオーバーサイズになっても可能」
という南カリフォルニアでは最後の砦となっているのです。
ただ、冬にしかブレイクしないので、
食べもので例えると、
カニとか、
寒ブリのような位置付けでもあるのです。
(ロッキーショアについてはこのコラムを)
https://www.nakisurf.com/blog/naki/column/column-25
(今読んでみると、見出しが同じ大きさで読みづらいのと、
いくつかの誤字があり、
いまだに多くの人がこの記事を覚えているので、近日中に再構成します)
さて、ここは南カリフォルニア。
膝から腰くらいの波は常にある。
その理由は、貿易風がオンショア(日本ではオフショア)になるので、
湘南で言うところの常に「沖で風が吹いている」状態。
よって、たいていの日はサーフできるくらいあるので、
日本だと、千葉北程度の波高と頻度だろうか。
(大きな違いは、夏は小さいながらも南半球から届く南うねりがある)
だいたい膝腰が4日、胸肩2日、
オーバーヘッド1日というのが、ここサンクレメンテ周辺の週平均。
最近は波が上がっても幸福波乗場、つまりユル波に行ってしまう。
そんな中、最近わかってきたのは、
渦浮力、
オーバーフロートのボードがこのユル波に向いているということ。
ロングは持っていないので、ミッドレングスや大きめフィッシュ、
シングルフィンがこれらのボードラインナップであります。
最近乗っているボードもそれらが多くなったので、
ユル波に行くのが楽しくなったと感じられる。
オーバーフロートボードの長所は、
1.失速しずらいので長い距離が乗れる
2.パドリングが速い
3.自分の狙った波にテイクオフができる
4.スピードが出る
5.フラットなセクションでも滑り続けることができる
6.自分の理想としているサーフィンができる
7.小波なのに大波のようにサーフできる
ざっとこんな7つが浮かぶ。
7番にある小波なのに大波、
というのを補足すると、
ユル波+オーバーフロートのボードでのターンは、
まさにビッグウエイブそのもので、
遠心力のかかり方、ターンの位置、滑走距離、
全てにおいて同等の感動を得られるのであります。
しかも安全に。
逆を言えば、
これでトレーニングできているということでもありますね。
さらにテイクオフが速い、ということは、
より多くの波に乗れ、
さらには失速しないで長く乗ることができ、
パドリングが速いから、ワンセッションにおいての
滑走&パドル距離が適正ボードの5倍近くなります。
よって、きちんとサーフすれば自然に体は鍛えられ、
さらには技術力も上がる、
という三段逆スライド方式のハトヤ並であります。
逆に適正浮力のボード、
つまりズバリのショートボードをここに持っていっても、
イ. ほとんどテイクオフができない
ロ. 波のセクションが終わると失速し、それで終了してしまう
ハ. 距離がある波なので、沖までやたら遠い(よって1本乗ると戻るために時間がかかる)
ニ. 普通にターンするとレイルが入りすぎるので、弱い偽ターンをしなくてはならない。
ホ. 波に乗るためには真剣にピークを絶妙な位置で探さなければならないので、サメの目みたいになってしまう
という5つの問題が発生する。
(ここで感じたのは、『適正』という表現がいけないのかもしれない、ということ。
他の言い方はできないものかとしばし考えていた)
photo by Yasuma Miura
長くなってきたので、一度話をまとめるが、
「オーバーフロートのボードがあると、幸せな人生を送れる」
そんなことを思ったのです。
でも、ある日突然ロッキーショア、
モナークという激掘波が立ち、
それらブレイクに行っても、
一本目から何も躊躇せずに乗れてしまうのは、
結局はユル波もオソロシ波も同じアプローチで波に乗っている証拠であろう。
テイクオフ動作は、
波の強さでは何も変わらないし、
全てが同じだとわかってきた。
大切なのは、ユル波でも手も力も抜かず、
顔は笑って、心は真剣にサーフすることで、
乗る距離と内容を重要視し、
パドリングは常に真剣にという姿勢が大切です。
今日はこんなことを書いてみました。
ボードをいきなり変えるのは大変だと思います。
例えば、友だちから古い大きなショートボードを借りたり、
またはNAKISURFでも試乗用ボードがあるので、
それを利用してみてください。
あなたの波乗り世界が拡がります。
もうすっかりと長くなりましたが、
どうかすばらしい週末をお迎えください。
今日もNAKISURFにお越しくださってありがとうございました。
また明日ここで。
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