銀鯖道の夜 ジロバンニの切符18 チヤーはかすかに笑つてゐるやうに見えました 「いえ、突然地層がざわざわ鳴つて、 巨きな白い野原がいつぱいにひらけました。 月のあかりはどこかぼんやりありましたが、 霧が非常に深かつたので…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 71_ジロバンニの切符18_(431文字)

銀鯖道の夜 ジロバンニの切符18 チヤーはかすかに笑つてゐるやうに見えました 「いえ、突然地層がざわざわ鳴つて、 巨きな白い野原がいつぱいにひらけました。 月のあかりはどこかぼんやりありましたが、 霧が非常に深かつたので…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符17 先生が教へてくれたことをジロバンニは思ひだしました。 「眞空は光をある速さで傳へるもので、 太陽や地球もやつぱりそのなかに浮んでゐるのです。」 そしてチヤーは口笛を吹いてゐるやうなさびし…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符16 チヤーは教へるやうにそつとボンとナツコに云ひました。 「わたしたちはもう、 なんにもかなしいことはないのです。 わたくしたちはこんないいとこを旅して、 ぢき神さまのとこへ行きます。 そこ…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符15 「うん、 だけど僕、 浪に乘らなければよかつたなあ。」 シギパネルラは云ひました。 「ええ、けれど、ごらんなさい。 そら、どうです。 あの立派な酒井塗装店を、 ね、あすこの向かうは、 夢…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符14 橙色のチヤーは叮ねいに云ひました。 「オン父さまや タキビシはまだいろいろお仕事があるのです。 けれどももうすぐあとからいらつしやいます。 それよりも、 オン母さまはどんなに永く待つてい…