The Mid-length 2+1 6’8″x 19-5/8″ x 2-1/2″
Shape, Design and glass by @hiroyuki_maeda
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台風18号が発生したが、
16号ミンドルからの南南東うねりは、
38年にわたるサーフ人生の中でも記憶に残る夢波となった。
68(シックスエイト=203cm)のレイルを波のフェイスにくい込ませる。
ミッドレングスは、
小波の際にはじっくりとターンをして、
夢波へと日々備えてきたが、
そのおかげでこうしてこの波に乗ることができた。
墜落しないように左腕を波の中にくい込ませて激烈接水させ、
あとはレイルの切れ込みを手がかりに波の表面をスライスするように落ちていく。
(JOBのパイプライン小説については巻末リンク*6を参照ください)
この波で人生が変わったと思えるが、
相対することができたのは、
いままでの小波や弱い波で、
大きな浮力のボードを使ってきた褒美(ほうび)だとも感じた。
ミニ・ノーズライダーがあったので、
ノースハワイ時代からミッドレングスを推奨してきた。
なので、
かれこれ15年以上という歴になるが、
浮力過多に乗れるようになっていて良かったなとしみじみ思える。
でないと、
浮力のあるボードに乗らないままサーフ人生を終えていただろうし、
こんな波に向かいあうこともなかっただろう。
私はかねがね
『自身の体重 x 0.8=ボード体積』
を提案し、推奨してきた。
今回はそのことを完全に証明できたと思う。
『自身の体重 x 0.8=ボード体積』
というのは、
65kgの初〜中級者サーファーは、
ボード体積が52リッター程度あれば、
楽しく波に乗れるという概念だ。
原則と言ってもいい。
けれど、
みなさんはどこかから『専門誌風のサーフィン雑誌』の
〈適正体重の求め方〉などで、
「中級者風の初心者ですが25リットルのサーフボードをください」
そんなマニュアルを背にやってくる。
「でもあなたには55リットルのボードでないと、
波にも乗れませんし、ただ浮いているだけとなりますよ」
そう言っても次は、
「55リットルのボードではドルフィン(ダックダイブ)できません」
そんなことになる。
けれど、
55リットルでもダックダイブはできるし、
もっと書くと波を良く見て、
ルートや流れ等を頭に入れたのなら、
頭以下の波であればダックダイブなどしないでもパドルアウトできる。
沖に出たら、
だいたいの波に押されるし、
良い波が来てしっかりと漕げば、
きちんと目的波に乗れるサーフボードだ。
余談だが、
ダックダイブのことを日本ではドルフィンスルーと言うのはなぜだろうか?
イルカがあまりいない日本にメルヘンというか、
ドルフィンというロマンを持ち込んだのは誰?
先ほど書いた専門誌風のサーフィン雑誌の編集者は、
そんな歴史を調べてみたらおもしろいのかもしれない。
専門誌風と書いたのは、
サーフィン雑誌の編集者で日々サーフィンをする人は何人くらいだろうか?
そんな調べがあってやってみると、
「サーフィンを日々している」
そんな専門誌編集者として胸を張れるのは、
じつに10%に満たない、
つまりサーフ雑誌編集者の10人に9人は、
日々サーフィンをしていないということがわかったからだ。
これではゴルフをしないのにゴルフ指南書を書いているゴルフ雑誌の編集者と同じだ。
25年前に〈あるサーフ雑誌〉が創刊となり、
その第二、三号はカリフォルニア特集だというので、
私がコーディネーターとして起用された。
電話をかけてアポを取ったり、
住所を調べて案内するという係だ。
けれど、
取材先でドナルド・タカヤマ(故人)がせっかく一緒にサーフしようと、
バードロックまで連れていってくれたのに、
サーフィンをしない編集長は海に背中を向けてタバコを吸っていたり、
他のレジェンドサーファーに変な質問をしたり、
それらは間に入った私までもが赤面するほどだった。
で、
あまりにも横柄な人だったので、
最終日の日本食レストランのボックス席でこう聞いてみた。
「どうしてサーフィンをしないのに専門誌の編集長をしているのですか?」
「君ぃ、それは私が雑誌作りのプロフェッショナルだからだよ、
だからこうして国外にも取材しに来るほど経験があるしね」
「そうなんですね。けれどサーファーが乗っている車とか、
家、洋服や趣味のことばかり質問していて、
海周りの重要なことやボードの選択方法などは一度も聞かなかったじゃないですか」
「君は失礼な人だね。そういうことを言っていると干されるよ」
そんなようなことを言いながら、
チップを15%きっちり計算機で払ってテーブルに置いた。
(自称海外通の編集長の間違いは、
まずはチップは小銭で置かないことが原則である。
地球の歩き方等を読むと15%くらいとあるが、
こうした日本食レストランで5人程度のディナー、
しかも寿司の一品等を寿司バーに注文していれば、
〜20%くらいでドル単位になるように渡すものだ。詳しくは巻末リンク*7を)
話を戻すと、
こうしてバカボンに2+1を乗ってもらうと、
やはりショートではなく、
ミッドレングスの画のほうがだんぜん説得力がある。
多くの人にミッドレングスのすばらしさが伝わりますように。
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【巻末リンク:ミッドレングス考】
【巻末リンク*2:ミッドレングス考・続編】
【巻末リンク*3:夢波】
【巻末リンク*4:この6’8”/2+1】
【巻末リンク*5:ミッドレングス考・続々編】
【巻末リンク*6:JOBのパイプライン編】
【巻末リンク*7:チップについて詳しく】
Happy Surfing and Happy Lifestyles!!
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