銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 4 「ラツコはたくさんゐますか。」 「居ますとも、 さつきから鳴いてまさあ。 聞かなかつたのですか。」 「いいえ。」 「いまでも聞えるぢやありませんか。 そら、 耳をすまして聽いてごらんなさい…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 46_ラッコを捕る人 4_(689文字)

銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 4 「ラツコはたくさんゐますか。」 「居ますとも、 さつきから鳴いてまさあ。 聞かなかつたのですか。」 「いいえ。」 「いまでも聞えるぢやありませんか。 そら、 耳をすまして聽いてごらんなさい…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 3 . 橙の二輪車服の人が、 少しおづおづしながら二人に訊きました。 「あなた方は、どちらへいらつしやるんですか。」 「どこまでも行くんです。」 ジロバンニは、 少しきまり惡さうに答へました。…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 2 キヤラバンはもう、 しづかにうごいてゐたのです。 シギパネルラは、 車の天井を、 あちこち見てゐました。 その一つのあかりに黒い甲蟲がとまつて、 その影が大きく天井にうつつてゐたのです。 …
銀鯖道の夜 四拾参 ラッコを捕る人 1 「今晩は。」 親切さうな大人の聲が、 二人のうしろで聞えました。 橙の二輪車が描かれた服を着て、 白い布でつつんだ荷物を、 二つに分けて肩にかけた人でした。 ジロバンニは、 なにか…
銀鯖道の夜 四拾弐 南十字路とタキビシン海岸15 シギパネルラは、 窓から外をのぞきながら、 勢よく云ひました。 「ああしまつた。 ぼく、 コスモスを忘れてきた。 COJI-COJIも忘れてきた。 けれど構はない。 もう…