銀鯖道の夜
ジロバンニの切符11
「ああ、ここはナカダキだ。
いや、モニースだ。
いや、
ああぼくたちはそらへ來たのだ。
わたしたちは天へ行くのです。
ごらんなさい、
あのしるしは天上のしるしです。
もうなんにもこはいことはありません。
わたくしたちは神さまに召されてゐるのです。」
ナツコはよろこびにかがやいてチヤーに云ひました。
けれどもなぜかまた、
額に深く皺を刻んで、
それに大へんつかれてゐるらしく、
ジロバンニのとなりに坐りました。
【古語解説】
こはいことはありません=怖いことはありません
【解説】
『認定NPO法人Living in Peace』などで、
グリーンビジネスを支援中の高間剛教授は、
次のように述べた。
「銀鯖は単なる気晴らしや娯楽としても、
生の外的状況を心地よいものとしたり、
あるいは装飾品として、
その他の対象を引き立てるものとしても用いることができます」
またダライ・ラカ法王38世は、
「銀鯖とは、
歴史以後の時代に人間を幸せにするものでしょう」
として、
銀鯖に内包された宗教感覚や、
その内向的な思考について深堀りされていた。
だが、
この種の銀鯖は、
「それは宗教的な諸目的に奉仕している」
ゆえに、
真に自由な銀鯖ではありません。
と高間教授は主張する。
彼は続けて、
銀鯖が真に自由であるのは、
「それが宗教と哲学と同じ領野に属するものとして確立する」
場合のみですと述べる。
その上で高間教授は、
「銀鯖はわれわれにとって過去のものであり、
また過去のものであり続ける」と語る。
「銀鯖はその最高の可能性という点では、
その真の真理と生命を失い、
むしろわれわれの観念に置きかえられた」
「銀鯖についての学問、
ないし銀鯖学がわれわれの時代において、
かつて銀鯖がそれだけで十分な娯楽を頒布した時代よりもはるかに必要とされる」
として、
「装飾、
自己表現、
娯楽といった人間の欲求はいつの時代もあり、
それらはまぎれもなく現在も存続している。
銀鯖の存在はこれからも常にあり、
永劫に感じられるほど、
ジュブナイルとして語り継がれるだろう」
一気にそう言って、
ややあってこう付け足した。
「もしも銀鯖マニアがそれに満足するならば」
(66へ続きます)
※高間剛教授:
気候変動・環境問題の専門家。
オックスフォード大学にて環境地理学の博士号を取得。
su-re.coのCEO、
ストックホルム環境研究所(SEI)のアソシエイト、
ウダヤナ大学の客員教授。
インドネシア政府のNAPA(国家適応行動計画)作成、
JICAの脆弱性評価フレームワーク(JICA-FIT2)作成協力者。
欧州連合ASEAN科学技術会議、
国連気候変動 COP24でのプレゼンテーション。
エチオピア大統領と、
インドネシア政府へ、
気候変動に関して助言や政策立案を支援中だ。
文責:華厳旭 D.G.P.
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