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naki's blog

「平和になるように想像してみよう」_「液体の一瞬、永遠の液体」_今年もありがとうございました_(4088文字、中短編です)

おはようございます。

こちらは満月がきれいな朝でした。

20091227_inaris(sm)_T4974

1番ブイは少し上がり、

7.8 ft@14sec. WNW(西北西うねり7.8フィート@14秒)

と計測しています。

これによって波情報では、

「Surf will be steady increase to 14 to 18 feet.」

(波は一日中サイズを上げ、14?18フィートとなるでしょう)

と、年末のアメ横のような威勢良さである。

風をチェックすると、

4AMで010@02(北北東風2ノット)、

5AMには360@03(北風3ノット)、

そして6AMでCALM(無風)となった。

「昨日ホワイトハウスが頭くらいあった」

という情報を聞き、

「南うねりもあるのか!」

とヨロコビ勇んで、夜明け頃にホワイトハウスに行くが、

昨夜吹いていたオンショア風波がゆらりとブレイクしているだけだった。

poipu

西北西うねりと、南の風波ミックスかあ、

とイメージすると、ピン!とひらめいた。

すぐに長老フレちゃんに電話し、

「マリグロリーフがいいかもしれませんよ?」

とそそのかし、ふたりで行ってみると、

すばらしいバレル波が逆光に包まれてブレイクしていた。

チーム・メジャーリーグベイ(つまりいつもここにいるということ)

の3人が駐車場で波チェックをしていて、

「うねりがちぎれちゃって、全然良くないよ」

と話しかけてくるが、

俺とフレちゃんはそれに「う、うーん」と曖昧に応え、

ワックスを塗るのももどかしく、

全速力でマリグロリーフに向かった。

このマリグロリーフは海軍基地内にあり、

軍が身元チェックした年間許可証がないと入れないようになっている。

先日ここでも書いたが、先日デトロイト上空で起きた

「ノースウエスト機テロ未遂事件」のあおりをうけて、

「基地内カメラ使用禁止』(謎)

となっているので、

今日の波写真がないのが残念で悔しいが、

テロと戦争を反対することしかできない自分が悔しい。

『IMAGINE PEACE』

これは2009年、つまり今年の始まりにオノ・ヨーコが

「平和になるように想像してみよう」

と世間に発した言葉。

であるが、結局のところ今年は平和になれたのか?

と想いながら新聞の国際欄を見るが、

「平和への道はなぜか険しい」

という数々の悲しい見出しが毎日鎮座している。

こうなったら「PEACE PLEASE」ですね。

ここで本日の標語です。

NAKISURF_20091231ヘンリー・ミラーの

”過去にしがみついて前進するのは、

鉄球のついた鎖をひきずって歩くようなものだ。”

としてみました。

色々なことがどんどん過去になっていくようです。

話は逸れましたが、

フレちゃんとマリグロリーフに向かいながら、

「Don’t point!(波を指すな)」

とお互いを牽制しながらブレイクに向かった。

なぜ「波を指さし」してはいけないのかと言いますと、

駐車場でメジャーリーグベイ波を見ている人たちに

「マリグロリーフ」

が良いことを知らせないようにとの俺たちなりの配慮なのです。

セットがやってきて、

それがバレルとなり、

エアスピットを吹きそうになっているのを見つけても指を指さないようにし、

「見ろ、左沖だ!」

という言葉だけを発しながら進んでいった。

いつも指を指してしまうので、

やってみるとなかなか難しかったですよ。

でも「駐車場から見るマリグロリーフ波はよく見えない」

という事実があり、

それは先日遭遇したものすごくいい日でも同様だったことを思い出し、

「どうせ彼らには波は良く見えていないだろう」

と安心していた。

さらに念には念を入れ、

「メジャーリーグベイからパドルアウトする」

という偽装というか、

周到なことまでやった。

で、沖に出て近くで見るとやはりものすごい波で、

岸から見ているとあんなに美しいバレルだったのだが、

実際自分が乗る段となると、

波は「かいじゅうたちのいるところ」

みたいな乱暴猛烈さと、冷酷さで俺たちに迫ってきた。

テイクオフするときに感じたのは「斜面変化の速さ」で、

完璧な場所から入波してもーーあっという間に波面がエグレてしまい、

ひどいレイトテイクオフになる。

たまに入ってくるキングパフェ、

じゃなかったオバケセットには昨日書いたように

「祈る」ということを実行し、

息をひそめて穏便にしていただこうと、

静謐なる意識で深く潜っていった。

少しして、

セットのピークが自分に向かってやってきた。

それは、乗るにはいい位置になったが、

50cmくらいビハインド、

つまり後手に入っていた。

「それに乗ってくれ?」

というフレちゃんの願いを感じ、

それに後押しされるようにテイクオフを開始した。

だが、墜落することが100%に近い確率となったことを視覚で知り、

パドリングをやめたのだが、

すでにBD5は波内に向かって滑り始めてしまっている。

「@#$%!!」とボードだけをリリースし、

俺は後方に避難した。

大滝の中に吸い込まれていく新作ボード。。

「ひえー」と身構えていると、

リーシュを付けた右足首が「ガン!」

と強烈に引っ張られる。

俺は反射的に(リーシュが切れないように)観念し、

あえて波の中に持っていかれようとするのだが、

ボードが小さいのか、リーシュが伸びながら衝撃を和らげているのか、

波の方向にゆっくり引かれているだけだった。

それにしてもリーシュがあんなに伸びたのは去年のイナリーズ以来で、

iPodのヘッドフォン並に細くなりながらぐいぐいと長く伸びていた。

かわいそうなのはBD5で、

まだこの世に生まれたばかりなのに、

いきなり猛烈な波内にグルングルンに巻かれているから

「折れてしまうかも?」

と少し心配になった。

20091221_Maligro_naki_V5118

波はBD5を堪忍してくれたようで、

ようやく「リーシュの引き込み」がなくなった。

浮いてくるBD5のテイルが見えるまで待ち、

すっかり細くなってしまったリーシュをたぐり、

すぐにパドルを始め、沖に波影が見えないことを確認してから

ボードをチェックすると、幸運にもどこにも傷は見えなかった。

一部始終を目撃していたフレちゃんが近づいてきて、

「ボードが短いからリヴァレッジ(テコの応用)が効かないので、

折れづらいんじゃよ。クフフフ」

と言われ、よく考えるとミニボードを折ったことはないなあ、

とその短さの長所をまた知った。

とにかく、

無理せずに完璧に合わさる波だけに集中しようと意識を調整し、

次のセットでは、完全すぎる位置から全速力でパドルをしていると、

バックウオッシュで飛ばされ、

リップから振り落とされたかと思ったが

気づいたら波の中に入っていて、

円くなっていく穴蔵斜面にレイルを持って張り付いていた。

それはそのまま閉じる前に出てこられて、

キックアウトしながら

フレちゃんに小さくガッツポーズをする。

うれしくて、胸の高鳴りを抑えながらフレちゃんに近づいていくと、

「完全に無理かと思ったけど、魔法みたいなテイクオフだったな」

と誉められ、その偶然と奇跡に感謝し、

沖を見ると、ちょうどクジラの尾が沈んでいくところだった。

それから1本乗り、

次の波はものすごくひどいワイプアウトとなり、

怪我をしなかったことに感謝し、

何本かバレルをくぐり、1本ロングライドして終了。

気づいたら1km以上も南東方向に流されていて、

さすが西北西うねりだと驚き讃えた。

上がって、伸びてしまったリーシュをテイルに巻き、

乗った数々のすばらしき波を思い出し、

浜を跳ぶように走り、波の感触をなぞらえる至福を味わっていた。

結局誰もこない無人セッションだったが、

ーーメジャーリーグベイでは5人ほどのサーファーが、

「なかなか崩れない、分厚いワンセクション波」

に手を焼いているようだった。

そして俺は「波大輪を滑る、傑作の資格、BD5」

というキャッチコピーをこの盟友BD5と得た。

20091224_BD5_V5445

ありがとう、すばらしいサーフボード。

いつまでも忘れませんからね。

と気持ちが感傷的になるのは年が終わろうとしているからだろうか。

きっと今日はどこに行っても

「今年も今日で最後」とか、

「2009年も終わります」とお聞きでしょう。

2009年末になってみて気づいたのが、

「生きていてよかった」

「すばらしい年だった」

ということです。

今年はDダイセンセの日本縦断ツアーから始まり、

邂逅のグリーンルームフェスティバルと、

バック宙が舞った大滝温泉、

永遠の神ノ島、

神を感じたノースハワイ波。

旅先の、そしてここの波からさまざまなことを経験し、

有意義に、健康に過ごせました。

さらには自分にとって未来の数字だった『2010』

という西暦に突入することに少し驚いています。

記憶は大きく分けて、

「シャボン玉みたいに消えてしまうもの」、

「または深く刻まれて決して消えないもの」

と2種類あるようですが、

年を重ねてきて、

「美しい記憶」というものを刻む方法をちょっとだけ知ったような気がします。

みなさんはどんな年でしたか?

最近よく「来年の抱負は?」

と聞かれるのですが、今はまだ考えずにいます。

そうだ、俺もみなさんと同じように好きな言葉が多くあり、

そのいくつかを紹介しますと、

スティーブン・ホーキング(物理学者)は、

”人生はできることに集中することであり、できないことを悔やむことではない。 ”

と言いました。

山頭火(自由律俳人)は、

「おこるな しゃべるな むさぼるな ゆっくりあるけ しっかりあるけ」

と律し、

坂本龍馬は、

「世の人は何とも言わば言え。わが成すことは我のみぞ知る」

と、どれにも輝きがあり、そして断固とした決意が見えます。

俺なりの「今年のキャッチコピー(tag line of the year)」

を考えていました。

2009_Maligro_naki_V4904

「液体の一瞬、永遠の液体」

と浮かび、

「海からのセレナーデ」

となり、

それはやはり海からのエネルギーを受けていたことを自分で知りました。

みなさんも今年のキャッチコピーを考えてみてはいかがでしょうか?

ご自分の深層心理がわかるかもしれませんね。

me_1224

原宿ショールームはお正月休みですが、

NAKISURFはもちろん営業中です。

カリフォルニアから、ノースハワイから、

そして日本から明日も発信します。

最後になりますが、

みなさんにこころをこめて、

今年もたくさんの幸せを、楽しみをありがとうございました。

どうぞすばらしい2010年をお迎えください。

NAKISURF主宰 船木三秀