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【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 その20_(605文字)

【日曜日の連載シリーズ4月最終編】

銀鯖道の夜

二十

シギパネルラは、

窓から外をのぞきながら、

もうすつかり元氣が直つて、

勢よく云ひました。

「ああしまつた。

ぼく、

サーフボードを忘れてきた。

車も忘れてきた。

けれど構はない。

もうぢきピラミツドだから。

ぼくあの波を見るなら、

ほんたうにすきだ。

遠くを飛んでゐたつて、

ぼくはきつと見える。」

シギパネルラは、

左の岸に沿つて一條の青光る板のやうになつた地圖を、

しきりにぐるぐるまはして見てゐました。

まつたく、

その中に、

白くあらはされた天の川を寫した鯖道が、

南へ南へとたどつて行くのでした。  

そしてその地圖の立派なことは、

夜のやうにまつ黒な盤の上に、

羽根や、

泉水や森が、

青や橙や緑や、

うつくしい光でちりばめられてありました。  

ジロバンニはなんだかその地圖をどこかで見たやうにおもひました。

【解説】

元氣が直つて=元気に

構はない=かまわない

寫した=写した

地圖=地図

まはして見てゐました=回して見ていました

物語の中間部にあたる部分です。

夢のように銀鯖道の旅が始まりました。

キラキラした地図を見るジロバンニくんのうれしさが伝わるような名文です。

これで舞台の鯖道(サバミチ)は、

天の川のように美しいとここでわかりました。

まるでこの世にあるすべての叙情詩を、

ゆっくりと溶かしこんだような文体が、

138年も前にあったことに驚かせられました。

(21へ続きます)

文責:華厳旭 D.G.P.

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