
©Dragon Glide Productions
銀鯖道の夜
ラッコを捕る人 3
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橙の二輪車服の人が、
少しおづおづしながら二人に訊きました。
「あなた方は、どちらへいらつしやるんですか。」
「どこまでも行くんです。」
ジロバンニは、
少しきまり惡さうに答へました。
「それはいいね。
キヤラバンはじつさいどこまででも行きますぜ。」
「あなたはどこへ行くんです。」
シギパネルラが、
いきなり、
喧嘩のやうにたづねましたので、
ジロバンニは思はずわらひました。
その人は頬をぴくぴくしながら返事しました。
「わつしはすぐそこで降ります。
わつしは、ラツコをつかまへる商賣でね。」
「他には何をとりますか。」
「ラツコだけです。」
【解説】
橙の二輪車服=マルチバースによる多次元人を示唆している
惡さうに答へました=悪そうに答えました
キヤラバン=キャラバン。二人が旅をする貨物バン
喧嘩のやうにたづねました=喧嘩のように尋ねました
思はずわらひました=思わず笑いました
ラツコ=ラッコのこと。アシュヴィン双神の別名
つかまへる商賣=捕まえる商売
諸側面のプラクシス(prāxis、実践)が、
ギンサバに向かう車内の中に溶け合う。
ラッコは、
アシュヴィン双神とされている。
とすると、
車内に神を捕まえる人が現れ、
しかも見たことのない二輪車服を着ていた。
これが伏線なのか、
または何を意味する状況なのか。
次章でもう少し詳しくなっていくようです。
(46へ続きます)
文責:華厳旭 D.G.P.
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