銀鯖道の夜
ジロバンニの切符2
青寶玉と黄玉の大きな二つのすきとほつた球は浪となり、
それがまただんだん横へ外れて、
向うへめぐり、
黄いろのはこつちへ進み、
青い小さいのが重なり合つて、
緑の中心と黄いろな明るい環ができました。
銀河のかたちもなく、
音もない浪にかこまれて、
ほんたうにその測候所が、
睡つてゐるやうに、
しづかによこたはつたのです。
【古語解説】
青寶玉と黄玉=それぞれサファイアとトパーズのこと
向う=向こう
黄いろな=黄色い
青い小さいの=青く、小さいもの
ほんたうに=本当に
測候所=いまのナウファス計測器
睡つてゐるやうに=眠っているように
しづかによこたはつた=静かに横たわった
(56へ続きます)
文責:華厳旭 D.G.P.
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