上総一ノ宮、玉前神社(たまさきじんじゃ)
Tamasaki Shrine, Ichinomiya, Chiba, Japan.
年の瀬となり、
書き続けてきた『私の波乗りの歴史』の最終回を掲載します。
[21編からの続きです]
ちなみにまだお読みになっていない方は、
こちらが第1回となっております。
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日本に大震災があって、
そして私はノースハワイからカリフォルニアはサンクレメンテに戻ってきた。
ノースハワイで強い波に乗り続けてきた反動だったのか、
または加齢していく自分自身のフィールドを拡大したかったからか、
緩い波で知られるサンオノフレに通うようになり、
その独自の、
強波修行とは反極にある心優しきカルチャーが染みいった。
そしてミッドレングスやオルタナ系を推奨し、
競争ではない波乗り、基準や決まりがないターン、
ハッピーサーフィングを愛し、紹介する立場となった。
タイラー・ウオーレンやクリスチャン・ワックたちは、
浮力があるボードに乗ることについての宇宙的な事実を指し示し、
私のサーフィンライフは宗教的な要素を帯び始め、
ついに「ウナギクネクネ教団」みたいなのを作り「勝手に広報部長」に就任し、
今に至っている。
が、しかしこのウナギクネクネ思想は、
武道のように真剣に波と対峙している日本のサーファーには根付かないと気付いた。
そう、主流にはならないのである。
ただ幸いなことに主流とは違うものをオルタナティブと呼んでいて、
そこに高感度サーファーたち、
または高感度な人たちからの人気が出始め、
そのオルタナティブに焦点を合わせたBlue誌に巻頭コラムの連載を持ち、
さらにはNALU誌のウナクネ編集長から連載コラムの依頼が来たのは、
奇遇でもなんでもなく、必然であったように思える。
このウナギクネクネ、
つまりオルタナティブ系のサーフィングが発展するとしてもあと2、3年、
または10年はかかると思い、
そのミッドレングス推奨を普及させるのをあきらめたのは、この夏のことであります。
で、多くのサーファーに親和性が高いショートボードに再び乗ってみたのが今年の初め。
具体的にはシェーン・マクファーソンの持っていた1980年代後半のショートボード。
でもこのボードは急斜面、または押しの強い波質でないと楽しめないことに気づいた。
で、吸い寄せられるように強い波を求め、
あれほど忌み嫌っていた有名混雑ブレイクに行き、
スリルとシャープさと引き換えに武道のような引き締めをショートボードによって獲得したのであります。
でも、これだけ山あり谷ありのボクから私になった自分なので、
だからといってショートボード・オンリーには戻らず、
その経験を糧に今度はサーフボードの科学、
つまりサイエンスがあるのではないか、ということを探り始めた。
それが最近。
さて、ウナクネはオルタナという意味で、
フィンを小さくしたり、外したり、
ボンザーにしたり、
さらには過浮力ボードの魔力を知ってしまった。
明確な体積の浮力による、
真のターンを得て、滑走は一気に本格的になってきた。
photo by Brian Miller
今まではただの驚きだったジェイミー・オブライエン、
そしてジョンジョン・フローレンスたちのテイクオフ直後の張り付きの原理を知った。
また、サイエンス側はマジックボード曲線があり、
これが数式で解析されていることがわかった。
今はサーフボードの新時代で、
そのショートボードの他にも
フィッシュ、レトロ、ミニマルフィン、フィンレス、
ミニ、サイエンス、ミッドレングス等々、
ありとあらゆるデザインが出現し、再登場し、
それに乗ることで参加している自分がいる。
そうやって考えると、
今から29年前にサンクレメンテでマジックボードを手に入れて、
そこから発生した不思議な渦のようなものに巻き込まれ、
ついにはアメリカに渡米し、
サーフィングが中心となった人生となったのは縁だろう。
おかげで、いまだに体のキレを求めて、
食や生活に気をつけて健康的な生活を送ることができている。
さらにはサーフィンを始めた当時、
雑誌で写真を見るだけで興奮していたサーファーたちにも出会うだけでなく、
一緒に旅に行ったりするようになった。
ドノバン・フランケンレイターが良い例で、
彼のジャパンツアーまで帯同して、
今度は音楽業界も知っていった。
仲間も増え、
「もう一回言ってくれぃ」のDセンパイもご健勝である。
そう思うと、やはり不思議な縁だろう。
とにかく私の使命は、
広義でサーフィングを理解し、それを伝える。
テクニックだけでなく、楽しく、
それぞれのサーファーに合った楽しみ方をセットし、
それぞれのレールを創造していくことだと感じている。
波に乗り続けることで、自分の夢をかなえ、
そして人生の光としているのです。
みなさんもどうかお元気で、いつまでも楽しい波乗りが続きますように。
そしてすばらしい年をお迎えください。
長い長いこのストーリーを読んでくださって、
本当にありがとうございました。
Aloha!
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