【日曜日の連載シリーズ4月編】 銀鯖道の夜 十九 ジロバンニが、 「シギパネルラさんは前からここに居たの。」 と云はうと思つたとき、 シギパネルラが、 「ぼくはね、 ずゐぶんパドリングしたけれども遲れてしまつたよ。 ダツ…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 その19_(1113文字)

【日曜日の連載シリーズ4月編】 銀鯖道の夜 十九 ジロバンニが、 「シギパネルラさんは前からここに居たの。」 と云はうと思つたとき、 シギパネルラが、 「ぼくはね、 ずゐぶんパドリングしたけれども遲れてしまつたよ。 ダツ…
【日曜日の連載シリーズ4月編】 銀鯖道の夜 十八 氣がついてみると、 さつきから、 ごとごとごとごと、 ジロバンニの乘つてゐる車が走りつづけてゐたのでした。 ジロバンニは、 父ちやんのキヤラバンの車室に、 窓から外を見な…
【日曜日の連載シリーズ4月編】 銀鯖道の夜 十七 銀鯖ステーシヨン ジロバンニはタマサキ神社の灯がいつかぼんやりした形になつて、 しばらく螢のやうに、 ぺかぺか消えたりともつたりしてゐるのを見ました。 それはだんだんはつ…
【日曜日の連載シリーズ3月編】 銀鯖道の夜 十六 ジロバンニの目には涙が一杯になつて來ました。 街燈のあかりがぼんやりと夢のやうに見えるだけになつて、 いつたいじぶんがどこを走つてゐるのか、 どこへ行くのかすらわから…
【日曜日の連載シリーズ3月編】 銀鯖道の夜 十五 「あなたのお父さんはもう歸つてゐますか。」 先生役のバリのヤマザキさんは堅く時計を握つたまま、 また聞きました。 「いいえ。」 ジロバンニはかすかに頭をふりました。 する…