銀鯖道の夜 二十六 「ああたいふうの浪が咲いてゐる。もうすつかり秋だねえ。」 シギパネルラが窓の外を指さして云ひました。 岬のへりになつた海の上に、 月長石ででも刻まれたやうな、 すばらしい形の浪がくずれてゐました。…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 26_(739文字)

銀鯖道の夜 二十六 「ああたいふうの浪が咲いてゐる。もうすつかり秋だねえ。」 シギパネルラが窓の外を指さして云ひました。 岬のへりになつた海の上に、 月長石ででも刻まれたやうな、 すばらしい形の浪がくずれてゐました。…
銀鯖道の夜 二十五 「ぼくはもう、すつかり天の世界に來た。」 ジロバンニは云ひました。 「それに、このキヤラバンは音がしないねえ。」 ジロバンニが左手をつき出して窓から前の方を見ながら云ひました。 「電氣かエー…
【日曜日の連載シリーズ5月編】 銀鯖道の夜 二十三 そのきれいな浪は、 レガロよりも南伊豆よりもすきとほつて、 ときどき眼の加減か、 ちらちら紫いろのこまかないろをたてたり、 虹のやうにぎらつと光つたりしながら、 聲もな…
【日曜日の連載シリーズ5月編】 銀鯖道の夜 二十一 「この地圖はどこで買つたの。 寶石でできてるねえ。」 ジロバンニが云ひました。 「銀鯖ステーシヨンで、 もらつたんだ。 君もらはなかつたの。」 「ああ、 ぼく銀鯖ステー…
【日曜日の連載シリーズ4月最終編】 銀鯖道の夜 二十 シギパネルラは、 窓から外をのぞきながら、 もうすつかり元氣が直つて、 勢よく云ひました。 「ああしまつた。 ぼく、 サーフボードを忘れてきた。 車も忘れてきた。 け…