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【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 27_(830文字)

銀鯖道の夜

二十七

「ぼく、

アンダーをとつて、

飛び下りながらはりついて、

それから一氣に乘つてみせようか。」

ジロバンニは胸を躍らせて云ひました。

「もうだめだ。あんなにうしろへ行つてしまつたから。」

シギパネルラが、

さう云つてしまふかしまはないうちに次の太東岬の浪花がいつぱいに光つて過ぎて行きました。

と思つたら、

もう次から次から、

たくさんのまるい底をもつたタイトウ浪のボトムが、

湧くやうに、

雨のやうに、

眼の前を通り、

太東岬の波は、

けむるやうに燃えるやうに、

いよいよ光つて立つたのです。

【解説】

ここでは、

地名である太東がダブルで出てきました。

ダブル・ミーニングであり、

カタカナでタイトウの出現です。

これは、

「太東岬の光る波」と同じ場所で、

別次元の話として、

物語はここからふたつに分かれていく。

「アンダーをとつて、

飛び下りながらはりついて」

という文字列を読むと、

それはまるで、

「波のなかに飛びついて、
動く壁を降りながら張り付いて」

そんな波を想像し、

具現として背中あたりから感得し、

ブロードキャスト配信で見たタヒチ波のさまざまが蘇りました。

最近のサーフ・ブロードキャストのすばらしさのひとつに多角映像がある。

よくある正面(センターカメラ)、

そして横(ボートカメラ)、

ナナメ(ボートカメラ)でその気になるが、

ナナメ下(水中カメラ)と、

空からのドローン映像で現実世界に引き戻させられる。

それらの波はひたすら美しく、

どこまでも怖ろしく、

大量の水の重みが感じられました。

ミヤサバ先生は、

およそ138年前にそんなことを感じていたのです。

そうしますと、

波は、

古来から続く不変のものだと、

ここでまた人生の深みを知りました。

ミヤサバ先生は他言語というか、

上記したようにひらがな、

カタカナ、

漢字の他に英字も使っていました。

もしかすると、

これだけで4つのユニバースがあるわけですから、

それらを組み合わせての表現は無限大でしょう。

TEAHUPO’O

(28へ続きます)

文責:華厳旭 D.G.P.

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