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【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 29_(689文字)

銀鯖道の夜
二十九

南十字路とタキビシン海岸2

俄かに、

車のなかが、

ぱつと白く明るくなりました。

そとを見ると、

金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたやうな、

きらびやかな銀河の下を、

太東岬の浪は聲もなくかたちもなく流れ、

その流れのまん中に、

ぼうつと青白い光が見えるのでした。

ジロバンニとシギパネルラが乘つてゐるキヤラバンは

ちやうどその南の方の町はづれへ走つて行つたのです。

そこには、

ぼうつと白く見える小さな店があつて、

信號標がかかつてゐました。

その店のなかに、

立派な眼もさめるやうな、

細い鐵の框のなかに太東岬の檀那の移しがあつて、

それはもう、

太陽の面で鑄たといつたらいいか、

すきつとした金いろの圓光をいただいて、

しづかに永久に横倒れてゐるのでした。

【解説】

俄かに=にわかに、突然

聲=声、この場合は音

魚の移し=魚拓のこと

小さな店=現在の堀込釣具店

信號標=信号

鐵の框=鉄の枠

鑄た=鋳る

圓光=円光、丸い光

横倒れてゐる=横倒れている

物語の発展は、

「太東岬の檀那」という怪魚によって存在が具現化した。

こうしたものがからまりあうように「ギンサバミチ」を想像させ、

これらのギンサバ世界の景色を形成している。

ミヤサバは、

怪魚を飛躍させる一方で、

さまざまな事項が溶けあう

プラクシス(ギリシャ語:実践、practice)を表現していると思える。

ジロバンニとシギパネルラを乗せたキャラバンは、

シギパネルラがいなくなったタマサキから南下し、

太東岬の、

信号がある交差点までやってきたのだ。

ここが、

副題にもある「南十字路」だろうと、

私たち研究者たちは見立てている。

(30へ続きます)

文責:華厳旭 D.G.P.

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