銀鯖道の夜
ジロバンニの切符18
チヤーはかすかに笑つてゐるやうに見えました
「いえ、突然地層がざわざわ鳴つて、
巨きな白い野原がいつぱいにひらけました。
月のあかりはどこかぼんやりありましたが、
霧が非常に深かつたのです。
新世界交響樂ははつきり地平線のはてから湧き、
そのまつ白な野原のなかをラツコ捕りが帽子を頭につけ、
一目散にキヤラバンを追つて來るのでした。」
「あら、
ラツコ捕りですよ。
ごらんなさい。」
ナツコも眼をさましました。
【古語解説】
チヤー=タキビネコ01
笑つてゐるやうに=わらっているように
地層がざわざわ鳴つて=地面がざわざわと鳴って
巨きな=大きな
新世界交響樂=ハルオミ・ホソノの「ピクニック」(PICNIC)だとされている
ラツコ捕り=物語のトリックスター、これも法王が演じている。一人8役
帽子=WHRのものだとあるが、その意味はまだわかっていない
キヤラバン=ジロバンニたちが乗っている貨物車
ナツコ=タキビネコ03
(72へ続きます)
文責:華厳旭 D.G.P.
◎
□