銀鯖道の夜
ジロバンニの切符38(完結編)
そしてもうタキビ神は棧橋の向うに見えなくなつてゐました。
ジロバンニはまつすぐに走つて丘をおりました。
そしてポケツトがカチカチ鳴るのに氣がつきました。
林の中でとまつてそれをしらべてみましたら、
あの圓い輪を描いたお札の中に、
大きな三枚の金貨が包んでありました。
「タキビ神ありがたう、
父ちゃんすぐ行きますよ。」
ジロバンニは叫んでまた走りはじめました。
タキビネコに檀那、
ラツコを捕る人、
何かいろいろのものが一ぺんにジロバンニの胸に集つて何とも云へずかなしいやうな親しいやうな氣がするのでした。
琴の星がずうつと西の方へ移つて、
そしてまた夢のやうに足をのばしてゐました。
【解説】
三枚の金貨=この金言によってNAKISURFガチャは3枚コイン方式が採用されている。
琴の星=4億5500万年前ごろに誕生したとされるベガ星のこと。
暗くなった直後に東から昇る明るい星であることから物語は夏だとわかった。
連載開始が令和5年12月17日。
それから1年と8ヶ月後、
ついに最終回となった銀鯖道の夜、
敬意を込めてギンサバと呼ばせてもらおう。
このギンサバ関係は、
かなりの人が読まれているらしく、
それはたくさんのお便りをいただいた。
解説者として、
物語の成りたちやその意義を説明したいのだが、
さまざまなものがこみあげてきて、
解説を書ける精神状態ではなく、
来週までにまとめてみます。
文責:華厳旭 D.G.P.
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